ここは永遠に終わらない夜の世界。
死神達が忙しく暮らす日本支部では表向きには恋愛禁止の掟があり、恋人達は息を潜めて逢瀬を重ねていた。
育ての親である支部長の【紫】へ密かに恋心を抱く【スバル】は、許されない恋を諦めるために【黒い雨を止める】ことを言い訳に、世界の滅亡を望む“救世主”のいるヨーロッパ支部へと二度と戻らない旅に出た。
奇跡的に“救世主”を倒して黒い雨を止めたスバルは日本支部に帰り、再会した紫に長年隠し続けた想いを打ち明けた。
誕生日プレゼントに「キスが欲しい」とねだったものの、紫の返事は曖昧なものだった。
誕生日の夜、布団の中にもぐり込んでプレゼントの催促をしてみると、冷たく突っぱねるはずの紫の様子はいつもと違っていて……
【±0 -Black Rain-】ゲーム(完全版)の後日談からさらにその後を描いた新規描き下ろし小説です。
日本支部支部長として、育ての親として、スバルの告白をはぐらかし続けてきた紫だったが、健気に何度も想いを訴えてくるスバルの真っ直ぐな気持ちに心を揺さぶられ、逃げるのをやめて隠し続けていた自分の恋心を迷いながらも打ち明ける。想いの通じ合った二人は初めてお互いの唇に触れ、加速した愛情は止まることなく夜は更けてゆく…… (ゲームの完全版に追加された後日談でカットされたR18シーンが描かれています)
晴れて恋人同士になったものの、徐々にスバルの態度がそっけなくなっていくことに紫は言い知れぬ寂しさを感じていた。毎年誕生日祝いをしてくれていたはずが、当日の夜になってもスバルは早々に布団に入って先に寝てしまう。それでも年下の恋人へ素直に嫉妬心を見せることができず、恥じらいながらも寝ているスバルの身体に触れて人肌恋しい想いに気付いて欲しいと願う。
紫は初めての恋にすっかり溺れてしまい、愛される幸せを噛みしめていたが、本心ではまだ育ての親としての罪悪感に縛り付けられて自分の気持ちに正直になれずにいた。スバルは受け身になってしまった紫に一方的に愛情を求められる現状に、本当に自分自身が愛されているのか不安を感じるようになった。仕事で多忙な紫に構ってもらえない寂しさに、スバルは思い切って「デートに行きませんか?」と持ち掛ける。
ヨーロッパ支部から届いた一通の手紙。日本支部との交流のために訪れた双子と再会し、親睦のお茶会を開く。ある日仕事から帰ってきたスバルは珍しく疲れた表情を見せ、紫に膝枕をねだってくる。疲れの理由を問いただすと、スバルはテレビ越しに出会った現世の少女のことを語り始める。彼女の存在が過去の忘れたい記憶を呼び起こして怖いのだと紫の身体に縋りつく。
容姿端麗な紫に密かに想いを寄せる部下の存在を知り、スバルは無防備な紫を心配し、敵対心を燃やしながらも静観していた。ある夜、紫は一方的な感情を募らせた部下に無理やり襲われそうになる。駆け付けたスバルは激しい嫉妬心を燃やし、紫を力尽くで奪い返すと乱暴に机の上に押し倒し、その両手を紐で縛って「お仕置き」を始める。 ※ヤンデレシナリオです。
主人公。やる気がなさそうに見えて剣は強い。
幼い頃に紫に拾われて育てられ、とても懐いている。
口上手な甘えん坊で卒なく世渡りもこなすが、心の奥では紫しか信用していない。
ラーメンが好きで毎日のように食べている。
育ての親である紫に密かに長年片想いしていて、さりげなくアタックを繰り返す。
両想いだと察していながらも、恋愛禁止の掟を前に自分の気持ちをはぐらかす紫に対してもどかしく思っている。
日本支部支部長。周囲から【支部長】と呼ばれている。
冷静沈着で剣が強く、高潔で近寄りがたい雰囲気で高嶺の花として部下からの尊敬を集めている。
幼い頃から育ててきたスバルにだけは甘く、二人きりの時は可愛がっている。
誰もが振り返るような美しい長い髪と気品のある容姿をしている。
モテるが恋愛経験はなく、照れてツンデレな態度をとってしまう。
支部長として、育ての親としてスバルへの家族以上の気持ちに悩み、戸惑い、見ないふりを続けていた。